「前にも言ったよね?」
僕は今でもこの言葉を聞いたり目にすると嫌な思い出がフラッシュバックしてきます。
自分はなんて仕事ができない人間なんだ…
前に言われたことさえできないやつなんだ
と当時はかなり自己嫌悪に陥ってメンタル崩壊寸前でした。
そこでこの記事では僕が心底嫌いだった「前にも言ったよね?」という言葉について僕の体験談や解釈を踏まえながら解説していきたいと思います。
具体的には
- 「前にも言ったよね?」の本当の意味
- 「前にも言ったよね?」を言う人の心理
- 「前にも言ったよね?」を言う人に出会った時の対処法
といった順番で解説していきます。
この言葉は新人に絶対言っては行けない言葉だと考えていますし、禁句だと思っています。
上司にとっては些細な言葉かもしれませんが、新人にとっては本当に本当に心が折れてしまう言葉になり、心はボロボロになってしまいます。
もし今あなたが新人として会社で働いていて、もしこの言葉のせいで疲弊しているなら、この記事を読んで少しでも心が良い方向に向かっていってくれればなと思います。
結論:「前にも言ったよね」なんてセリフを言ってくる上司なんかほっとけ
最初に結論から申し上げますが「前にも言ったよね」なんて言ってくる上司はほっときましょう。
とはいえ、1対1で絶対その人に聞かなきゃいけないとか、ほっとくことなんてできない人もいるでしょう。
まぁ、要は“ほっとく”くらいのスタンスでいる方がいいよってことです。
上司の立場で「前にも言ったよね」という言葉を言ってくる人は「仕事ができない」人です。
だってそれを言われた人の感情や気持ちやモチベーションを考えられていないじゃないですか。
新人はこの言葉を言われたら確実に萎縮するし、絶対確認しなきゃいけないようなことも確認しなくなっていきます。
また、仕事へのモチベーションは下がり、最終的には会社を辞めてしまうこともあるかもしれません。
「前にも言ったよね?」という言葉を言ってくる上司は、そんな簡単な想像もできずに部下のモチベーションを下げているのだから、仕事ができないと言っていいでしょう。
だからそんな仕事のできない上司は“ほっとけ”って感じです。
「前にも言ったよね」と言ってくる上司の心理や言葉の真意は?
さて、そんな仕事のできない上司ですが、どうして「前にも言ったよね?」なんて言葉を言ってくるのでしょうか。
答え→仕事ができないから
と言ってしまえば、それでおしまいではあるのですが、ここでは少し深掘りしてみましょう。
①何度も教えるのが面倒くさい・忙しくて時間がとれない
まずは「何度も教えるのが面倒くさい」「忙しくて時間が取れない」です。
要はもう1回同じことを言う時間がないくらい忙しいってことですね。
まぁ理屈としてはわかります。
かくいう僕も新人の時代を経て、部下2名のマネジメントをしたことがありますし、上司は上司の忙しさがあるのもわかります。
…がそれはそれなんです。
上司のタイムマネジメントの下手さを部下にあたるのはお門違いでしょう。
時間がないというのは上司自身のせいです。
それで部下に教えるのが面倒くさいというのは自分のことを棚に上げすぎだなと思いますよね。
②人手が足らず、早く仕事を覚えて欲しいと思っている
次に「人手が足らず、早く仕事を覚えて欲しいと思っている」という心理です。
まぁこれもわかりますね。
人手が足らなくて忙しいからこそ、1回で覚えて欲しいという心理はわかります。
とはいえ、それを機嫌が悪い感じで、部下に言うのは違いますよね。
人手が足らないのは会社のせいです。
そしてそれで仕事が回らなくなって、忙しくなって、1回で覚えて欲しいから部下にあたるというのは、とんだ勘違いだなと思います。
③部下に期待している
また「部下に期待している」という面もあるそうです。
昭和時代によくみられた光景かと思いますが、期待しているからこそ、厳しく言うってことですね。
でもこれは諸刃の剣だなと個人的には思います。
たしかに期待しているから詰めるとか厳しく指導するみたいなことはあると思いますし、人によっては一定の効果はあると思います。
ただ、これは部下の立場の人が感じることなんですよね。
上司が「お前に期待しているから厳しくしているんだぞ」と言うのは、単なるエゴです。
部下の立場から「厳しくされてるのは期待されてるからだ」とポジティブ変換するのはよくても、上司の立場から「期待しているから厳しくしている」と変換するのは謎ですよね。
また「厳しい=期待」が結びつかずに、単に厳しくされてると思うだけの人もいます(僕です)
そしてこういった場合に「厳しい=期待と捉えるのは性格上、難しいのでなるべく優しく指導してくれませんか」と上司に相談したとしても、その上司は厳しさを緩めることはないです。
ということはつまり「期待しているから厳しくしている」という構図ではなく「厳しくしたいが先にあって、後から期待しているという気持ちを載っけている」といっても過言じゃないでしょう。
なので僕は「期待しているから厳しくしている」という構文は、ほぼほぼ嘘なんじゃないかなと思っています。
④上司のストレス解消
最後の心理としては「上司のストレス解消」です。
上司はいわゆる中間管理職です。
代表や役員と部下の間に入り、潤滑油として会社をスムーズに動かすためのポジション。
そして結婚して家庭を持っている人もいるでしょう。
会社と家庭とストレスを抱えている人も多くいるかと思います。
そのストレス解消に使われているかもしれないということです。
だって「前にも言ったよね?」って言う時って絶対優位な立場じゃないですか。
中間管理職としてへこへこして、家庭にも居場所がない上司が、絶対優位を持てるのって、そういう時しかないと思いませんか?
となるとストレス解消に使われている可能性もあるなって思いますよね。
「前にも言ったよね」と言われた時の対処法3選!
ここからは「前にも言ったよね」と言われた時の対処法について解説していきます。
簡単な対処法としては
- メモ・録音を取る
- 他の上司に聞く
- 努力している姿を見せる
です。
①メモ・録音を取る
まずはこれでしょう。
メモと録音をとって1回で覚えられなかったことも振り返られるようにするのがベストです。
またメモに関しては、ポーズを上司の前で取っておくだけでも効果的です。
メモをとっているということは、覚えようと努力はしてくれていると思うはずです。
そのような人に対して「前にも言ったよね?」という言葉は、少し言いづらくなるかなと思います。
②他の上司に聞く
次の対処法は「他の上司に聞く」です。
要は「前にも言ったよね」という言葉を言わない優しい上司を見つけるってことですね。
またこれは上司じゃなくて同期とかでもいいです。
ただこの場面をその上司とか違う人に見られてしまうと「なんであの子はあの人に聞いてるの?」と違和感が生まれてしまうので、その違和感には注意しながら聞くのが大切です。
③その人から離れる
最後の対処法は「その人から離れる」です。
①②のように最大限こちらが努力しても嫌味のように言ってくる上司なのであれば、もう無理です。
その人の性格が急に変わることもなければ、こちらから変えることもできません。
できることは自分が変わることだけです。
世の中相容れない人はたくさんいますし、変な人もたくさんいます。
もしどうしようもなければ、その人から離れるしかないです。
部署を変えてもらうか上司を変えてもらうか、はたまたもう会社を辞めてしまうか…、
なぜ辛い思いをしている人の方が変わらなければいけないのか腑に落ちない部分はありますが、ぐっと我慢して自分が変わるしかないです(いじめとかもそうですよね)
関われば関わるだけ損という人も世の中に入るので、離れることも視野に入れていきましょう。
「前にも言ったよね」に関する上司と部下のスタンス
ここまで「前にも言ったよね」という上司は最低だ!というスタンスで、色々とお話ししてきましたが、だからといって部下が絶対正しいとは思っていません。
ここでは
- 上司が本来取るべきスタンス
- 部下が本来取るべきスタンス
について解説します。
上司が本来取るべきスタンス
まず上司が本来取るべきスタンスは「何回でも聞いていいよ」のスタンスです。
このスタンスは部下が気軽に質問できる心理的安全性を確保することができますし、これが長期的に見て部下の成長スピードが1番速くなるスタンスだと思います。
逆に「前にも言ったよね」スタンスは、成長スピードが1番遅くなるスタンスといっても過言じゃないかもしれませんね。
そもそも1回で覚えるのは難しいって話
聞いたことがある人も多いかもしれませんが、ドイツの心理学者 ヘルマン・エビングハウスが発表した「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存知でしょうか。
これは人間は学んだことを忘れてしまう日数を表したものになります
- 20分後には42%忘れる
- 1時間後には56%忘れる
- 9時間後には64%忘れる
- 1日後には67%忘れる
- 2日後には72%忘れる
- 6日後には75%忘れる
- 31日後には79%忘れる
1ヶ月後には約8割のことを忘れてしまうんです。
ただ、このデータは「子音・母音・子音」からなる無意味な音節を覚えた時の記憶のデータなので、仕事など意味のある物を覚える時やメモをとっているときは、この限りではないかなと思いますが、とはいえ“人間は忘れる生き物”だってことです。
だからこそ教える側の上司たちには「1回で覚えるのは難しいよね」とわかってもらう必要があるわけです。
部下が本来取るべきスタンス
そして部下が本来取るべきスタンスは「1回で絶対覚えよう」のスタンスです。
人間がいくら忘れてしまう生き物といっても「何でもすぐに忘れちゃうんで何回でも教えてくださいね!」とか「人間は忘れる生き物だからしょうがないじゃないですか」というスタンスは生意気でしかありません。
大事なのは歩み寄りです。
上司は「1回で覚えるのは難しいよね」のスタンスでいるべきですし、部下は「絶対1回で覚えます」のスタンスでいるべきです。
恋愛と一緒ですね。
彼氏は彼女の気持ちを察するように動くべきですし、彼女が察してちゃんではなく、言いたいことは彼氏に伝えるべきですよね(あくまで一例です)
これが「察してなんて言わないとわかんねーよ」「言わなくても察するのが普通でしょ」のスタンスでは大喧嘩に発展します。
仕事も一緒でお互いの歩み寄りが大事ってことです。
「前にも言ったよね」でメンタルを病まないための考え方7選
では最後に「前にも言ったよね」でメンタルとを病まないための考え方をご紹介します。
- メンタルを病むくらいなら「他責思考」でいい
- 「たかが仕事」ということを忘れない
- そもそも一度で覚えられるほど人間の脳は優秀じゃないということを知る
- 自分も調子も悪くないのであれば「相性」が悪いと思い込もう
- 「働いてやってる」くらいのスタンスでいよう
- 「てめーは新人の時できたのかよ」と心の中で叫ぶ
- 心にコジコジを飼おう
では1つずつ解説していきますね。
①メンタルを病むくらいなら「他責思考」でいい
僕は常々「自責思考」が大事と思っていますが、メンタルを病むくらいであれば「他責思考」になってもいいなと思います。
特に「前にも言ったよね」という上司に関しては「てめーの伝え方が悪いんだろ、ボケ」くらいのスタンスで相手に責任を投げちゃっていいです。笑
成長するためには自責思考が大事ですが、メンタルが壊れるくらいであれば、ガンガン相手のせいにしちゃいましょう。
②「たかが仕事」ということを忘れない
仕事至上主義の人には申し訳ないですが「たかが仕事」なんです。
人生=仕事ではなく、たかが仕事なんです。
その仕事のいち上司に「前にも言ったよね」と言われたからなんだってんだって話です。
仕事仕事モードに入ると「これ言われた自分は仕事できないやつなんだ、人生終わりだ」なんて思ってしまいますが、たかが仕事です。
別に失敗したからって何がどうってわけでもないです。
気楽にいきましょう。
③そもそも一度で覚えられるほど人間の脳は優秀じゃないということを知る
記事中盤でもお話ししましたが「エビングハウスの忘却曲線」でもあるように、人間は忘れてしまう生き物です。
そして忘れてしまうのはもちろんのこと、ヒューマンエラーは必ず起こります。
どれだけ優秀な人でもどれだけ天才でもミスしてしまうことはあるんです。
気をつけよう気をつけようと思っていてもミスしてしまうことはありますし、人間の脳はそこまで優秀じゃないんです。
④自分も調子も悪くないのであれば「相性」が悪いと思い込もう
「1回で覚えようと思っていてもできなかった」「全力で取り組んだけどミスをしてしまった」といった場合は、もうしょうがないです。
この人が上司についているから緊張して萎縮して逆にミスをしてしまうなんてこともあります。
そんなときは相性が悪いと思い込みましょう。
相性が悪い人とはどうやっても上手くいきません。
⑤「働いてやってる」くらいのスタンスでいよう
たかが仕事と似ていますが「働いてやってる」くらいのスタンスでいましょう。
会社に雇われていると思いがちですが、会社とは対等です。
労働力を提供する代わりに賃金を得ているだけの契約なんです。
だから「働かせてもらっているから頑張らなきゃ」というスタンスではなく「働いてやってる」くらいのスタンスでもいいんです。
頑張らなきゃと思えば思うほど、メンタルは崩しやすくなります。
働いてやってるくらいのスタンスで日々過ごしていきましょう。
⑥「てめーは新人の時できたのかよ」と心の中で叫ぶ
「てめーは新人の時できたのかよ」と心の中で叫びましょう(これ本当に個人的に結構思います)
みんな新人時代のこと忘れがちですよね?なにあれ?
自分が新人時代の時のこと棚に上げて、部下に厳しくするって人間ですか?って思っちゃいます。
シンプルな言葉で言えば怖い。
絶対できない時代のことがあったはずなのにそれを忘れて厳しくするのって、嫌な部活の先輩じゃないですか?
俺ら/私らの時代はこれが当たり前だったから〜みたいな。
「いや、知らんて」って感じですよね。
なので心の中で「てめーは新人の時はできたのかよ」と叫びましょう。
⑦心にコジコジを飼おう
最後に僕が大好きなコジコジについて紹介します。
「正月君 飛べない時はゆっくり休めばいいじゃん」「仕方ないよ 飛べないんだからさ」
これは空が飛べずスランプに陥った正月君に、休むことを勧めるコジコジのセリフです。
できないことはしょうがないんです。
そればっかり考えていてもしょうがないので、難しい時は心配をやめてゆっくり休んで楽しいことをしていきましょう。
「相手にしてくれなきゃこっちも相手にしなきゃいいのに」
憧れの人に手紙を書こうとしているクラスメイトに放ったコジコジのセリフです。
相手がそんな感じのスタンスなら、こっちもスタンスを変えていきましょう。
上司が厳しくしてくるなら、それに合わせてどんどん変えてってやればいいんです。
タコ「おまえバカだろ バーーーカ」→コジコジ「そうだよ よく知っているね キミは物知りだね」
小さいタコに馬鹿にされるコジコジのやりとりです。
ただ単に受け入れて流すだけ。
「前にも言ったよね?」と言われたら「そうですけどなにか?」くらいで思うのが大事なのかもしれません。
コジコジだよ コジコジは生まれた時からずーっと将来もコジコジはコジコジだよ
「前にも言ったよね」なんて言葉を言われると自分のできなさに気づき、自己嫌悪に陥りますが、何ができたって何をミスしたって、あなたはあなたです。
別に周りからの評価があなたの価値を決めるわけじゃありません。
コジコジのようにあなたもあなたです。
「前にも言ったよね」は禁句
「前にも言ったよね?」という言葉は新人の心を簡単に折る危険な言葉です。
でもこの言葉を言われたことのあるあなたは、これから関わる新人に優しくできる素敵な上司です。
自分が言われて嫌だった言葉を部下に言わないようにして、今後、この言葉でメンタルを病んでしまう人たちが現れなくなればいいなと思います、
また、この記事を読んで少しでもあなたの気持ちが軽くなってくれていたら、とっても嬉しいです。